子ども達は、活動の企画段階から参画することによって、気づきや新しい発見をし、自ら考え学び行動し、責任もつことなどを学びます。
子どもの参画が活動の中心に置かれているか否は、青少年団体に限らずボランティア団体やNPOでも最も真摯に取り組まなければいけない重要な課題です。
ロジャー・A・ハート博士による 「参画のはしご」 では、8段階の梯子のうち、子どもがどの程度参画しているかが問われます。
「参画のはしご」 の1段目の「操り参画」は、子供たちが趣旨を理解せずに活動に参加すること。
最上段の8段目は「子ども主導の活動に大人も巻き込む」こと。
8段目に相当する参画の例は、ボーイスカウトの発祥時期がそうであった(スカウト―青少年―は、先ず、自分達でグループをつくり、地域で活動するために、後から大人に頼んで隊長になってもらった)ものの、実際はきわめて少ない。
その理由は、子ども達の興味が何であるかに耳を傾ける大人が少ないことです。
最高段階の実現は、子どもに耳を傾ける大人がどれだけいるかにかかっています。
子ども達の学習意欲をそそる「きっかけ」の一つに「あこがれ」があります。
子ども達は、個々の感性で何かに憧れ、自分にとって最初の目標に設定しますが、それは多くの場合、その子のヒーロー(ヒロイン) となるものです。
子ども達は、ヒーロー(ヒロイン) のことをより知ろうとし、その憧れのの対象に近付くことに熱中します。
「少年団」を英訳すると「Boy Scouts」となります。
ボーイスカウトの発祥当時は、YMCA (YWCA) 等の青少年 (健全育成) の活動団体が既にありました。しかし、他の活動団体以上に世界的に波及し、子ども達・青少年がのめり込んだ背景には、「参画のはしご」の8段目「子ども主導の活動に大人も巻き込む」手法がボーイスカウトには有った、と言うことになります。
その手法の一つが、「憧れにつながるテーマの提供」です。
現代において、子ども達の憧れの対象と成り得るものの一つとして、宇宙少年団を私たちは見出します。
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映画『アポロ13』(APOLLO13 配給ユニバーサル映画 1995) の1シーンです。
―― 月に向かったアポロ13号は故障で月面到着を断念し地球に帰還しなければならない。
しかし、故障のため十分な電力も無く姿勢制御できない状態で手動操作により地球に戻る作業をしなければならない ――
―― アポロ13号の飛行士であるジムの家にみんなが心配して集まってきてテレビの報道番組を見ている ――
マリリン MARILYN =ジムの妻
ブランチ BLANCH =ジムの母
ニール NEIL、バズ BAZZ =宇宙飛行士
マリリン: ・・・・ブランチ、こちらの方たち、一緒にテレビを見てくださるの。 ニール・アームストロングさんと、バズ・オルドリンさんよ。
・・・・ Blanch, these nice young men are gonna watch the television with you. This is Neil Armstrong, and this is Bazz Aldrin.
ニール: はじめまして。
Nice to meet you.
バズ: こんにちは。
Hi.
ブランチ: あなたたちも、宇宙開発の関係者なの?
Are you boys in the space program, too?
―― テレビの報道番組では、大気圏に突入した際のとてつもない高温がもたらす危惧が語られている ――
ニール: ところで、えーと、ブランチ?
So, uh, Blanch?
ニール: ブランチ、ええと、ジムはイーグル・スカウトになったの?
Blanch? Did, did Jim, uh, make Eagle Scout or not?
ブランチ: ええ、なったわよ。
Yes, he did.
ニール:そうか。 (“なったなら大丈夫だ”と言うように)
He did.
イーグルスカウトは、アメリカの全ボーイスカウトの中から2%ほどが成れる最高位の進級者です。
このシーンでは、ボーイスカウトでそこまで進級した者なら、どんなに困難な局面でもくじけずに道をきり開くだろう、という信頼感があります。